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アルコールを飲まない脂肪肝が増えています

今日の外来での一コマ。

以前から脂肪肝を指摘されている中年男性。
最近肝機能がさらに悪くなっている様子。
AST、ALT、γーGTP以外にも
中性脂肪や尿酸も高い。

典型的な糖質過多、
中でも過剰な「果糖」摂取が疑われる。

アルコールは一切飲まないが、
とにかくジュースなど糖質が多いとのこと。
中でも麺類は大好きで毎日食べても飽き足らない。

以前に何度か食事指導を受けた後、
しばらくは加工食品も控えめにして
精製された糖質を控えるように心がけていたが
いつもあまり長続きせず、
次第に加工食品も多くなってくる。



NASH(非アルコール性脂肪肝炎)の概念
についてお話しし、
脂肪肝は立派な炎症性疾患である旨をご理解いただいた。

加えて、病気は決して薬や医者が治せるものではなく
結局はその人がご自身の健康に責任を持つという
立場をとっていただいて、
行動変容を伴わないと根本的には
快方には向かわないこともお話しした。

私は特別な場合を除き、
厳格な糖質制限はお勧めしませんが、
精製された糖質や人工的に作り出された甘味料に関しては
極力控えるように指導しています。

(その代わりに食物繊維が豊富でデンプンが中心の食材(例えばサツマイモ)は積極的に摂取して頂いています。(SIBOの場合は例外))


清涼飲料水や菓子類だけでなく、
多くの加工食品や調味料にも「果糖ブドウ糖液糖」が含まれています。

もともと「果糖ブドウ糖液糖(またはブドウ糖果糖液糖)」などは日本で開発された
トウモロコシなどのデンプンを加工した異性化糖で、
約半分に果糖が含まれた甘味料です。

キューバ危機で砂糖の供給がストップした
米国政府がこれに目をつけ
トウモロコシ農家に補助金を与えて
果糖ブドウ糖液糖を生産するために
大量にトウモロコシを作らせました。

米国では「High Fructose Corn Syrup」として
多くの加工食品に添加されています。

Fructose(果糖)は主に果物に含まれており、
また低GI値ということもあり
健康にとって良いイメージがありますが、
ブドウ糖に比べAGEs(終末糖化産物)
と言われる老化物質を7〜10倍産生する
とも言われており、
特に食物繊維のない形の、いわば「むき出し」の
果糖の過剰摂取には注意が必要です。